4つの導入形態
左に行くほど自由度が高く作り込みが必要で、右に行くほどすぐ使えます。同じHSR/PRPでも製品の階層がまったく異なります。
LEVEL 1
IPコア
自社のFPGA設計に組み込みます。基板もFPGAも自社で用意し、最も自由度が高い形態です。ロジックリソースと設計工数が必要です。
LEVEL 2
組込みモジュール
Bitstream書込み済みのモジュールを自社基板に実装します。FPGA設計は不要で、基板設計のみで済みます。
LEVEL 4
完成品
設置して配線するだけ。開発工数はゼロ。変電所などの現場にそのまま導入できます。
どれを選ぶか
状況から逆引きしてください。
| お客様の状況 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| 自社でFPGA設計をしており、既存基板に機能追加したい | IPコア(HPS / MRS) | ライセンス購入し、Vivado上で自社デザインに統合します。ポート数やQoSはGUIで設定でき、RTL改変は不要です。 |
| FPGA設計の経験がない。基板設計はできる | MEZU-A7G8 | Bitstream書込み済みモジュールを載せるだけ。CPUもLinuxも不要で、最大8ポートのL2処理がFPGAだけで完結します。 |
| Web管理・SNMP・SSH・ログ保存も必要 | SMARTzynq / SMARTmpsoc | Linuxが動くため、管理機能やPTPスタック、セキュリティ処理を実装できます。TSNや高度なセキュリティならSMARTmpsoc。 |
| 既存のSCADAサーバをHSR/PRP対応にしたい | RELY-PCIe | PCIeカードを挿すだけ。既存ソフトウェアを維持したままDANP/DANH化できます。Windows/Linux/RTOS用ドライバあり。 |
| 変電所に設置する機器がすぐ欲しい | RELY-RB | 4×SFPのRedBox完成品。IEC 61850-3準拠、−40〜+70℃。HSR-PRP変換やQuadBoxとしても動作します。 |
| 防衛・航空宇宙で、MIL規格が必要 | RelyUm Rugged | MIL-STD-810/461/1275/704、TEMPEST対応。型番・構成ごとに認証範囲が異なるため個別確認が必要です。 |
HPS と MRS の違い
IPコアを選ぶ場合、この2つの区別が最も重要です。
| 項目 | HPS | MRS |
|---|---|---|
| 構成 | HSR/PRPに特化。Ring Port A / Ring Port B / Interlink Port の3ポートが基本 | HPS+MESを統合。HSR/PRPポートに加え、通常のEthernetポートを併設 |
| 動作モード | DANH / DANP / RedBox / HSR-SAN / HSR-PRP変換 / QuadBox | 上記に加え、L2マネージドスイッチとして動作 |
| 最大ポート数 | 3ポート構成が基本 | 最大32ポート(実際はFPGAリソース・PHY・PTP・VLAN等で制限) |
| 選ぶ場面 | 冗長化だけが目的で、既存のスイッチと組み合わせる | HSRリング2〜3ポート+通常スイッチ5ポートのような混在構成を1チップで実現したい |
HSR/PRPが不要で産業用マネージドスイッチだけが必要ならMESを選びます。後からHSR/PRPが必要になった時点でMRSへ移行する、という考え方が実務的です。